エカワ珈琲店の出来事

主に、エカワ珈琲店の日常の物語をお届けしています。

おいしいアイスコーヒーの作り方

アイスコーヒーって、どうやって作るか知ってますか? 実は、主に2つの方法があるんです! 「ゆっくり冷ます作り置きタイプ」と「熱いコーヒーを氷で一気に冷やすタイプ(急冷)」です (1)コーヒーを冷まして作る方法 まずは、ふつうにホットコーヒーを淹…

夫婦で歩いた三十年、そしてこれから

去年の5月13日。 あと五日で、妻が退院すると決まっていました。 半年近い入院生活で荷物も多く、私は1日に何回か病院へ通い、少しずつ家へ持ち帰っていました。 運転免許証を返納するつもりで車を手放していたので、退院の日はタクシーで帰ることになり…

やさしい科学「コーヒー豆の焙煎」

コーヒー豆の焙煎は、じつは理科の「化学変化」と同じしくみで、熱を加えることで香りや味のもとが生まれていきます。 中煎りは、酸味と苦みのバランスがちょうどよく、「レモンとチョコの真ん中」のような飲みやすい味に。 深煎りは、糖分が変化してカラメ…

朝のコーヒーと、世界のどこかの暮らしの話

朝いちばんのコーヒーは、果物と同じくらい、あるいはそれ以上の抗酸化物質を含んでいると言われています。 だからでしょうか。コーヒーは、朝の空気にとてもよく似合います。 眠りから覚めた体に、そっとスイッチを入れてくれる飲み物です。 けれど、世界を…

2016年から2021年― エカワ珈琲店店主の記録、商売の揺り戻し

2016年から2018年の夏頃までは、私にとって試練の連続だった。 連れ合いの体調不良と入院、二匹の愛猫の病院通い、そして私自身の不調。 当時は神経痛だと思っていたが、いま振り返れば心不全の初期症状だったのかもしれない。 そんな状態では、商売…

サラリーマンと自営業 ― エカワ珈琲店店主の回想、2015年まで

二十代、三十代の私は、ごく普通のサラリーマンだった。 公務員として働き、収入も待遇も、世間一般の「平均的な暮らし」の中にいたと思う。 だが三十代後半、私はその道を離れた。 年功序列の果実を受け取る前に、組織の空気に馴染めず、脱サラしてしまった…

ヤギから始まった!? コーヒーの歴史の旅

世界でいちばん飲まれている飲み物のひとつがコーヒーです。 でも、最初から世界中で人気だったわけではありません。 コーヒーがどのように広まり、今のような身近な飲み物になったのか、歴史をたどってみましょう。 (1)コーヒーのはじまり ― ヤギが見つけ…

季節と暮らしに寄り添う、コーヒーのカロリーの話

コーヒーは、私たちの暮らしの中でいちばん身近な飲み物のひとつです。 朝の目覚めに、食後のひと息に、仕事の合間の気分転換に。 その一杯は、ただの飲み物ではなく、生活のリズムや気持ちの切り替えを支えてくれる相棒のような存在です。 そんなコーヒーで…

余生の焙煎店で思うこと、年金と焙煎機のあいだで

七十を越えてからというもの、人生は思いがけず静かに、そしてゆっくりと深まっていくものだと感じるようになった。 若い頃には、ただ前へ前へと進むことしか考えていなかったが、いまは立ち止まる時間の豊かさを知った。 私は和歌山市の片隅で、小さなコー…

小説コーヒーの歴史、コーヒーが世界をめぐる時 電子書籍版

電子書籍『小説コーヒーの歴史』を出版しました! 2026年3月31日、キンドルで新しい電子書籍『小説コーヒーの歴史』をセルフ出版しました! キンドルの販売ページには「要約」だけ載せていますが、この『エカワ珈琲店の出来事』では、「要約」と「目…

年金だけでは食べて行けない、でも――健康なら働いて暮らしていける

2022年の春、エカワ家の家計支出は毎月33万円ほどだった。 「大雑把な暮らし」と自分で言いながらも、夫婦ふたりで営む小さなコーヒー豆自家焙煎店の生活は、どこかのんびりしていて、どこか張りつめてもいた。 当時の私は70歳。公的年金は月に8万…

守るべきものを失って、もう一度“自分のためのコーヒー商売”へ

去年の秋、私は「守るべきもの」を胸に抱えていました。 今はもうこの世にいない妻です。 私たちの日常(日々の暮らし)を支えるために、小さな自家焙煎の商売を続けていました。 コーヒー豆自家焙煎の人気が高まりつつあるのを肌で感じていたこともあり、「や…

朝の一杯を、午後までおいしくする小さな工夫

朝いちばんに淹れたコーヒーには、その日の気分をそっと整えてくれる力があります。 湯気の向こうに立ちのぼる香りを吸い込みながら、「今日も始まるな」と思うあの瞬間。 けれど、現実はなかなかゆっくり味わわせてくれません。 気づけばカップの中身はすっ…

季節と食卓とブラックコーヒーの話

日本には、春夏秋冬という豊かな四季がある。 季節が変われば、空気の匂いも、着るものも、食卓に並ぶ料理も変わっていく。 その移ろいの中で暮らしていると、自然と「季節に寄り添う味覚」というものが育っていくのだと思う。 コーヒーの世界でも、季節限定…

風の強い土曜日に、店の奥で思い出すこと

4月4日の土曜日は、まるで季節外れの台風のような一日だった。 風は唸り、雨は横殴りで、店の前の通りを歩く人影もほとんど見えない。 そんな天気のせいか、店に来てくれたのは3人だけ。 しかも、3人とも正午(12時)から12時30分のあいだに集中して…

エカワ珈琲店とカリタのペーパーフィルターのお話

エカワ珈琲店では、普段はハンドドリップでコーヒーを淹れています。 ゆっくりお湯を注ぎながら、豆の香りやふくらみを確かめる時間は、毎日の大切なひとときです。 ただ、味のチェックをしたい時には、ペーパーフィルターを使うコーヒーメーカーで淹れるこ…

商売よりも、いまは“生きるリズム”としてのコーヒー

再開の3月、静かな手応え 3か月ぶりに焙煎コーヒー豆の販売を再開した3月。 正直なところ、長い休業のあとにお客さんが戻ってきてくれるのか、不安がなかったわけではありません。 ところが、ふたを開けてみれば—— 販売量は33kg、売上は約23万円。 1…

クリック広告とのお別れ

気がつけば、「エカワ珈琲店のブログ」を始めてから、もうずいぶん長い時間が経ちました。 最盛期には、ひと月でページビューが数万を超え、クリック広告だけで数万円ほどの収入があったこともあります。 あれは、いま思えば夢のような時期でした。 ところが…

コーヒーが導く、これからの時間

コーヒーの世界に沈んでいく余生 私の唯一の趣味は、コーヒーと、そのコーヒーにまつわる仕事です。 今年の秋には七十五歳。後期高齢者と呼ばれる年齢になります。 そんな私が、突然ひとりになりました。 妻に先立たれ、家の中の静けさが、時に胸の奥を冷た…

休業明けのコーヒー商売が教えてくれたこと

コーヒーと、私のこれからの日々 1月、2月は、電子書籍を作ったり、ブログを書いたり、家の中に籠って独りで出来ることだけを続けていました。 文章を書くことは嫌いではありません。 むしろ、コーヒーについて考えたり、言葉を選んだりする時間は、私にと…

病院の待合室から見える景色

総合病院の循環器内科の待合室に腰を下ろすと、視界の端にあの廊下が見える。 車いす専用のトイレへと続く、あの短いようで長い廊下。 去年の夏、週に三度、妻と一緒に通った透析室へ向かう道のりだ。 タクシーを降り、車いすを押しながらエレベーターに乗り…

エカワ珈琲店へGO!(2)

電子書籍『エカワ珈琲店へGO!(2)』を出版しました! 2026年3月15日(日曜日)、キンドルで新しい電子書籍『エカワ珈琲店へGO!(2)』をセルフ出版しました! キンドルの販売ページには「要約」だけを載せていますが、この『エカワ珈琲店のブログ』で…

「再開という名の、ゆっくりとした呼吸」

人は、ある日ふと立ち止まる。 それは自分の意思とは関係なく、心と身体が「もう少し静かに歩け」と告げてくる瞬間だ。 去年の十二月、私はその声に従うしかなかった。 精神の底に沈殿した重い影と、身体の不調が重なり、コーヒー豆を焼く気力がどうしても湧…

エカワ珈琲店が探す、“ちょうどいい”という名の居場所

コーヒーの値段には、不思議な境界線があります。 一杯の値段が少し変わるだけで、その飲み物が持つ「距離感」まで変わってしまうのです。 ほんの少し高くなるだけで、その一杯は日常からふわりと離れ、まるで特別な儀式のような距離をまといはじめるのです…

これからのエカワ珈琲店の歩き方

三月八日、日曜日の午前。 久しぶりに焙煎機に火を入れた。 前回、豆を焼いたのは一か月も前のことだ。 あのときは、自分の飲む分と、お供えに使う分、そしてご近所さんへのささやかな差し入れだけ。たった一回の焙煎で十分だった。 しかし昨日は違った。 営…

小さな一歩が、止まっていた時間を動かした日

新しいパソコンを開封した朝に 三月一日の日曜日に注文したパソコンが、四日の水曜日に届いた。 段ボール箱を開けたのは、翌日の木曜日。 新しい機械の匂いと、薄い保護フィルムの手触り。 そのどれもが、久しぶりに「未来」を感じさせてくれた。 初期設定に…

再開の一粒、静かな焙煎所にて

2月末の4日間、循環器のカテーテル治療のために入院していました。 たった 4日間とはいえ、74歳の身体にはなかなか堪える(こたえる)もので、退院した日に10メートル程度の距離を少し速足で歩いただけで息が上がる始末。 体力の衰えを、身をもって感じ…

静かな日々の中で思うこと

私たち夫婦は、長い間ふたりきりで暮らしてきました。 二人の間には子どもはおらず、親戚づきあいもほとんどない。 だからこそ、何かあったときに頼れるのは、いつもお互いだけでした。 病気になったときも、気持ちが沈んだときも、そばにいるのは妻だけ。 …

コーヒーの香りとともに、日常を取り戻すために

1週間前、妻の四十九日の法要を終え、永代供養のお墓に納骨を済ませました。 これで一区切り…のはずなのですが、心の中にはぽっかりと大きな穴が空いたままです。 脱力感という言葉では足りないほどの、深い静けさに包まれています。 妻の四十九日の法要の…

二人で焙煎していた日々を思い出しながら

久しぶりに焙煎機に火を入れました。ちょうど2か月ぶり、久しぶりの焙煎です。 手順を思い出しながらの作業は、どこかぎこちなく、ところどころ抜けてしまっていて、いつもなら20数分以上かけていた焙煎時間が、今回は20分ほどで終わってしまいました。 …