商品・サービスの普及過程を説明したエヴェリット・ロジャース教授の釣鐘曲線は、よく知られています。
商品・サービスが普及していく過程にて、その商品・サービスを受け入れる人たちを5つのグループに分類しているのが、ロジャース教授の釣鐘曲線です。
下の図は、ウィキペディア/イノベーションの普及を参考にして作成しています。
新しい商品・サービスを受け入れるのが早い順番に、イノベーター(革新的採用者)、アーリーアダブター/オピニオンリーダー(初期採用者)、アーリーマジョリティー(初期多数採用者)、レイトマジョリティー(後期多数採用者)、ラガード(伝統主義者)と分類しています。
左端のイノベーター(革新的採用者)は、ギーク(オタク)的で新しいものを進んで採用する人たちで、比較的に金銭的に余裕がある人たちです。
右端のラガード(伝統主義者)は、最後の最後まで新しいものを採用しない人たちで変化を恐れている人たちです。金銭的に余裕が無いので新しい商品やサービスを採用することができない人たちも含まれます。
中間部分は、新しい商品・サービスがどういうものか見極めてから、あるいは多くの人たちに受け入れられてから、若しくはある程度価格が安くなってから、その新しい商品・サービスを採用する人たちです。
そして、ほとんどの人たちは中間部分に位置していて、右端し左端しに位置する人たちは比較的少数です。様々なタイプの人たちが、それぞれのグループに分かれています。
コーヒーという商品についてギーク(オタク)であっても、映画という商品については何も興味を持っていない人たちもいます。
過去30年間、マーケティングの担当者たちは、新しいものにトライするのが好きな人たちに最初に働きかけて、それから時間をかけて数多くの人たちに採用される方法を模索してきたはずです。
インターネットが普及することで、20年前、30年前と比べると、情報の伝達スピードと個人が取得できる情報量が飛躍的に増加しています。
新しい何かについての情報も、ものすごく増加しています。
その昔、新しいものが大好きな人たちは、毎年・毎年、新しい何かを購入して、用心深い人たちは、何年も何年も新しい何かの品質がもっと良くなるのを、あるいは新しい何かの価格が安くなるのを待っていました。
現在、インターネットによって全世界がつながっているので、新しい何かの品質向上スピードや価格の低下スピードが速くなっています。
新しい何かを手に入れるのが比較的簡単になって来ていて、新しい何かが私たちの生活の一部として採用できるスピードが速くなっています。
文化が変わりつつあるのかもしれません。多くの人たちが、イノベーターになる可能性がある社会に変化して来ているような気もします。
20年前、30年前と違って、多くの人たちが頻繁に新しい何かを採用するのをいとわない社会で暮らしているのかもしれません。
その昔、僅か2.5%%だったイノベーター(革新的採用者)に属する人たち、あるいは13.5%だった、アーリーアダブター/オピニオンリーダー(初期採用者)に属する人たちの割合が増加しているのかもしれません。
エカワ珈琲店にとって、これは何を意味しているのか考えてみました。
常に、お客さんに新しい何かを提供していなければ、お客さんはどこか他所に立去ってしまうことを意味していると考えています。
特に、小規模零細商売においては、そうなってしまう可能性が高いと考えています。
下の図は、今回のブログ記事を書くについて参考とさせて頂いている『Seth's Blog/The bell curve is moving (mass geekery)』からの引用です。
エカワ珈琲店は、70歳の年老いた珈琲豆焙煎屋が店主をしている零細生業パパママ店です。
釣鐘曲線の中間部分・マスマーケット(大衆市場)で商売するのは無理だと、30年間も零細生業パパママ商売を続けているわけですから、これまでの経験から理解できます。
零細生業パパママ商売の市場は、釣鐘曲線の両端にしか存在していないと思います。
しかし、ラガード(伝統主義者)をターゲットとしていると、商売が尻しぼみになってしまいます。
それが、高齢の経営者が営む個人店が衰退して行く原因だと思います。常連のお客さんに依存する商売は楽ですから、それが新しいお客さん獲得の障害になっているような気がします。
常連のお客さんに依存しているわけですから、商売を変化させる事が出来なくなってしまって、徐々に徐々に衰退して行くのだと思います。
エカワ珈琲店の店主である年老いた珈琲豆焙煎屋は70歳と高齢ですが、最近、コーヒーのイノベーター(革新的採用者)市場で商売をして行こうと考えるようになっています。
理由は、コーヒー市場の釣鐘曲線が動いていて、多くの人がコーヒーオタク(コーヒーギーク)化しているように感じられるからです。
ラガード(伝統主義者)市場で商売をするよりも、イノベーター(革新的採用者)市場でコーヒーオタク(コーヒーギーク)化しているお客さんを相手にする商売の方が、ダントツに面白くて楽しい商売ができて、年老いた珈琲豆焙煎屋の残された時間を有効に使えると考えています。
10年前なら、人口30数万人の地方都市でオタク(ギーク)をターゲットする商売は成り立たなかったと思います。
しかし、現在(2021年12月)は違います。
コーヒー市場に関しては、オタク(ギーク)をターゲットする商売が成り立つようになっています。