空想映画の世界では、大型自動車と同じ大きさのアリが登場することもありますが、現実の世界では、大型自動車と同じ大きさのアリは存在しません。
経済物理学という学問領域があって、そこでは、ビジネス規模が大きいか小さいか、適正規模かそうでないかを考えているそうです。
例えば、ある喫茶店チェーンの店舗数が11店舗だとします。1人の管理職で管理するには多すぎる店舗数ですから、複数人の管理職が必要となります。しかし、 11店舗のキャッシュフローだけでは、スタッフを効率的に活用することができません。
仕入れ・マーケティングなどにおいて、規模の利益を得るには不十分な店舗数です。
キャッシュフローの効率化や規模の利益の恩恵を受けるには、店舗数を増やす必要があります。
例えば、スタッフ30名で数億円の売上を計上しているWEB企業があるとします。
30名のスタッフで快適に仕事をしているのですが、株式を公開するには不十分な事業規模です。
株式を公開するには、スタッフを増員して事業規模を拡大する必要があります。しかし、事業規模を拡大すれば、それまでのビジネス環境が大幅に変ってしまう可能性があります。
快適に働くのに必要なビジネスサイズ、株式を公開するのに必要なビジネスサイズ、それらはデッドゾーンみたいなもので、はっきりとは意味のわからない漠然としたものです。
スタッフ30名のWEB企業が株式の公開を目指すということは、ゆっくりと歩いて行くのでは無くて跳躍を意味しているのだと思います。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、夫婦2人だけで零細小規模な自家焙煎コーヒー豆小売専門店を営んでいます。エカワ珈琲店という屋号の零細生業商売です。
69歳と60歳の夫婦2人だけで営んでいる零細生業パパママ店で、年間1000人未満のお客さんに自家焙煎コーヒー豆を買ってもらっています。
年老いた珈琲豆焙煎屋は69歳ですから、公的年金を受給していますが、国民年金が主な年金収入ですから、食べて行くには収入が不足しています。
ですから、公的年金収入の不足分を稼ぐことが、商売の最大の目的となっています。それに加えて、生きがい・趣味という面も目的になっていますが。
零細生業パパママ経営の自家焙煎コーヒー豆小売専門店ですから、当然、大規模・中規模の珈琲会社さんと比べれば、売上。収益ともに「月とスッポン」の違いがあります。
でも、もう少し売上と儲けを増やしたいと考えて、エカワ珈琲店よりも規模の大きい珈琲会社さんの物真似商売をしたとしても、売上・利益が増えることなどあり得るはずがありません。
それどころか、物真似商売を営むことで、自家焙煎コーヒー豆を買ってもらっている年間1000人未満のお客さんの大半を失ってしまうかもしれません。
それは、これまでの商売を破壊してしまうかもしれけない冒険を意味しています。
高齢の商売人には冒険が似合いませんから、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦は、事業規模の拡大を望んでいません。
というよりも、自分たちが快適だと感じる商売と、事業規模の拡大とは相容れないのだと考えています。
大型自動車の世界には大型自動車の世界があって、アリの世界にはアリの商売がある、それが商売の適正規模で、商売の量子力学なのかもしれないと考えている年老いた珈琲豆焙煎屋の今日この頃です。
ちなみに、アマゾンでの商品販売でも、アリの世界にはアリの商売があると考えます。よろしければ、エカワ珈琲店の自家焙煎コーヒー豆を試してみて頂ければ幸いです。