食品の味(例えばコーヒーの味)を追求するという事は、美味しい食品(例えばコーヒー)を作ることだと年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。
しかし、年老いた珈琲豆焙煎屋は、誰もが美味しいと評価してくれるコーヒーを作れたことはありません。その自信もありません。
美味しさとは、最終的に複雑な味や匂い(香り)を、その人の脳が評価した結果であって、生理状態や情報やその他の様々な要因によって、美味しさの判断基準が逐次変化すると言われています。
「美味しい」という感覚は人それぞれで個人差が大きいので、科学的に説明するのは難しいと言われています。
しかし、食の仕事で稼いで食べているのなら、できるだけ多くの人の美味しさの感覚を制御しなければ儲けられません。
例えば、年老いた珈琲豆焙煎屋は、連れ合いと二人だけで零細生業規模のコーヒー豆自家焙煎店「エカワ珈琲店」を営んでいるのですが、できるだけ多くの人の美味しさの感覚を制御しているわけでは無くて、少数の人の美味しさの感覚を制御しているだけなので、何とか食べていけるだけの稼ぎしかありません。
複雑な味やニオイを脳が総合的に判断をして、その結果として、人は美味しいと感じると言われています。
だから、美味しいと感じる基準は、人によって違うのは当然です。
しかし、食品を提供する側とすれば、できるだけ多くの人が美味しいと感じる食品を提供したいわけです。
そのためには、食品を提供する側が美味しさの構成要因を認識しておく必要があると年老いた珈琲豆焙煎屋は考えます。
一般的に、美味しさの感覚を制御するには、美味しさの構成要因を分類して、それらを解析して理解すれば、美味しさの把握につながると考えられているようです。
以下は、美味しさの構成要因の分類の列記です。
【1】空腹・疲労・栄養素の欠乏やアンバランスなどの、生理的欲求による美味しさ。
仕事や運動で疲労している時、甘味がほしくなります。
運動で負荷がかかると、人は甘味のある飲料を選択します。
また、人は疲労すると、有機酸(特にクエン酸)を好むようになります。
空腹なら食事が美味しく感じる、喉が渇いているなら水が美味しく感じます。
【2】国・地域・家庭を単位とする、個人の食経験や文化による味付けの美味しさで、食の経験に基づく安心感による美味しさ。
民族・地域・家庭など、人が食生活を行っている単位の食の経験に合致した味は安心感があるが、これまで経験したことの無い異文化の味や風味を持つ食については、人は違和感を感じます。
Aという文化集団に属する人たちが美味しいと感じる食品であっても、Bという文化集団に属する人たちが、その食品を美味しいと感じるとは限りません。
ゆえに、「美味しさの感覚」とは、相対的な代物だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
【3】食の安全を初めとする、様々な食に関する情報にリードされて感じる美味しさ。
生きるために食する食事から楽しむために食する食事まで、食に対して様々な影響を与えているのが情報です。
情報がリードする美味しさは、人に特有の美味しさ(人だけが持つ美味しさの感覚)だと言われていて、情報が美味しさを誘導するとも考えられています。
【4】香辛料の刺激などの、薬理学的な美味しさ。高度な嗜好食品の美味しさ。
年老いた珈琲豆焙煎屋の仕事には、一番重要な美味しさの要件です。
何と言っても、コーヒーは世界で最も愛されている嗜好飲料で、栄養のある無しとは関係なく世界中の多くの人たちに愛されている高度の嗜好性食品だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。