「零細生業パパママ商売」、「零細生業パパママ店」をインターネット検索して、検索1ページ目に年老いた珈琲豆焙煎屋の管理・運営するブログサイトの記事が出て来るかどうか調べていて、同志社大学で先生をしておられる亀井大樹さんの論文を見つけました。
論文名は「パパママストア」で、同志社大学学術リポジトリに収録されています。
昭和の時代、日本の飲食品小売業を支えていたのは商店街や路地裏のパパママ店でした。
亀井大樹さの論文によるだけでなくて、その頃の商店街や街かどの商店で買い物をしていた年老いた珈琲豆焙煎屋(1951年・昭和26年生まれです)は、その事をはっきりと覚えています。
パパママ店の売上は、1982年に13兆3000億円とピークになって、翌年から減って行って、1989年(平成元年)には8兆2000億円まで減少しています。
パパママ経営の店が大多数だった喫茶店も、1982年頃に店舗数がピークを向かえ、その後減少しています。
食品スーパーやコンビニエンスストアーが登場して来て、消費者は飲食品小売業のパパママ店から離れて行きました。
パパママ喫茶店でのコーヒー消費は、ファミリーレストランやファーストフードのチェーン店、それとオフィスコーヒーサービスに移って行きました。
消費税が導入されてデフレ経済が始まって、消費税導入の最初は、年商3000万円未満が免税事業者でしたが、それが年商1000万円に免税事業者のラインが上がってしまって、ますます零細なパパママストアの商売が成り立たなくなって行きました。
大手・中堅事業者と競合する大量生産・大量消費のコモディティー市場は、パパママストアが生存できる市場では無くなってしまったと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
消費者は、パパママストアを必要としなくなった市場で商売をしていても、惨めさを感じるだけで無駄骨だと思います。
パパママストアを必要としている市場は、コモディティー市場のすぐ近くに存在しているコミュニティー市場だと思います。
パパとママが長時間働いても賃金コストが発生しないのが、パパママストアです。
パパママストアーは、パパとママが長時間働くことで経営が成り立っているわけですから、その仕事に熟練して行くスピードが速いという特徴を持つ商売の形態です。
そして、コミュニティー市場は、熟練した技術・工芸品的性質を持つ商品を探している消費者のコミュニティーに依存している市場で、大量生産・大量消費のコモディティー市場に満足できない消費者に支えられている市場です。
例えば、ジジババ店の行列が出来る街のトンカツ屋さん、長年に渡って長時間営業を続けて来ているので、レストランチェーン店やホテルチェーンの調理人では太刀打ち出来ないレベルの熟練した調理技術・調理知識・調理経験を持っています。
昔なら脱サラ、今ならセミリタイアした人たちに向いている商売の形態がパパママストアーだと思います。
コモディティー市場は飽和状態ですが、コミュニティー市場は只今拡大中です。
そして、パパママストアーは、コミュニティー市場と相性の良い商形態だと思います。
少量生産・少量販売、熟練した技術、手作業、コストよりも品質重視、それらがコミュニティー市場で求められる要件です。
これらの要件を満たすには、パパママストアー商売が向いています。
今まで、儲けられなくて食べて行くのがやっとの商売がパパママストアーでしたが、これからは、儲けようと思えば儲けられる、食べて行くだけ稼いで楽しく働く、それほど儲けられなくてもゆっくりと働けるなどなど、パパママストアーは、色々な稼ぎ方を選択できる商形態になって行くような気がします。
コーヒー市場でのクラフトコーヒーの活況をこの目で見ていて、パパママストアーは理想的な商売形態だと考えるようになって来ている年老いた珈琲豆焙煎屋の今日この頃です。
ちなみに、年老いた珈琲豆焙煎屋は、連れ合いと二人だけで営んでいるジジババ経営のコーヒー豆自家焙煎店「エカワ珈琲店」の店主です。
脱サラして大体30年、零細生業規模のコーヒー豆自家焙煎店商売を営んで来ましたが、70歳になって初めて、コーヒー豆自家焙煎店商売に追い風が吹いているを感じています。
年齢が年齢ですから、その追い風に乗るだけの体力も精神力も残っていません。
しかし、そのお裾分けに預かるくらいは出来るかもしれません。
50歳くらいの頃に、今のような追い風が吹いてくれていたらとも思いますが、これも運命なのかもしれません。