零細生業商売の自営業者という働き方は、経営者では無くてフリーランスだと思う

個人の起業には、2種類の起業の形があると思います。生業としての起業と、事業としての起業です。

勤めていた職場で居場所が無くなってしまったので、自営業者として何か気楽な商売をしながら食べて行けたらと考えて、母親が細々と営んでいたコーヒー豆自家焙煎店の仕事を受け継いだのが30年前、年老いた珈琲豆焙煎屋が39歳の時でした。

誰にも雇われず自分で商売をしてみたい、気楽に稼いで気楽に暮らしたいと考えての脱サラですから、年老いた珈琲豆焙煎屋の起業は生業型の起業です。

それから30年、山あり谷ありでしたが自由気ままな零細生業商売を続けて来ました。

自由気ままな零細生業商売ですから、何時もお金に追いかけられていたわけですが。

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個人の起業には、生業型起業と事業型起業がある

生業型の起業は生計手段確立型の起業ですから、昭和の頃も令和の今も、収入はそれほど多くありません。その替わり、上司や先輩など周囲に気を遣うことなく気楽に働けます。

所得がものすごく低い可能性も、まあまあの所得を確保できる可能性もあるわけですが、働く者の都合に合わせて働き方を決めることができるので、安定した収入を得られればセミリタイア的に気楽な暮らしを楽しめます。

事業型の起業、ようするに事業機会活用型の起業は、上手く運べば高収入を期待できますが、大きな損失が待っている可能性もあるので、大きなリスクを伴います。

それに、事業での成功が目的ですから、気楽な商売というわけにもいきません。

 

生業型起業の自営業者はフリーランス

生計手段確立型の生業商売を営む自営業者は、インフォーマル・セクターに属する自己雇用者だと思います。

長期的な雇用契約を特定の組織や個人と結んでいないのが自己雇用者ですから、零細生業パパ・ママ経営の自営業者(個人事業主)は、期間限定の労働者や内職従事者と同じインフォーマル・セクターに所属する自己雇用者(フリーランス)に分類されるべきだと思います。しかし、行政は、何故か零細生業パパママ経営の自営業者を経営者に分類しています。

信用金庫の職員さんも、零細生業パパママ経営の自営業者を「社長」さんと呼びます。

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21世紀、生業型起業は簡単・小資本で可能

1990年代、零細生業商売の自営業者として起業するには1000万円以上の初期投資が必要でしたから、起業すれば簡単に廃業することができなかったわけです。

でも、今(2021年)は違います。21世紀になって、インターネットが普及して行って、オンラインを活用する零細生業商売の起業なら、新規開業資金をそれほど用意しなくても簡単に起業できます。

最初は、アルバイト的に起業することも、思うように事が運ばなければ撤退することも可能です。それほど失敗を恐れずに起業できる環境が、今は存在しています。

また、人を雇用しなくても、相当程度の商売を営める環境が整っているので、人を雇用するというリスクを背負う必要もありません。

損益分岐点となる売上が少なくても経営が成り立つ環境が整っていて、生産性の高い商売ができる環境も存在しています。

 

零細生業の自営業者は自己防衛のために一人会社を作る

小資本で簡単に起業できれば、一人の人が、雇用者と自営業者の間を何回も行ったり来たりすることが可能になります。

政治・行政サイドがちょっとだけ制度を工夫してくれたなら、それが可能となる環境が出来上がっているような気もします。

自分の能力を発揮できる就職先、条件の良い就職先がなければ、それらを見つけるまでの間、自営業者(自己雇用者、個人事業主)として働くことも可能な環境が出来上がる一歩手前のところまで来ているような気がします。

問題なのは、零細生業の自営業者(個人事業主、自己雇用者)であっても、行政的には、労働者やフリーランスではなくて経営者と分類されている事です。

そのため、賃金雇用者と比較して、零細生業の自営業者(個人事業主、自己雇用者)には様々な社会制度的不利益が存在しています。

その不利益を解消しようとする自己防衛反応から、月商100万円足らずの自営業者(個人事業主)が、一人会社を立ち上げて合同会社や株式会社の名刺を持っていたりするわけです。

そうすると、馬鹿げた話なのですが、ものすごく生産性が悪くなります。

 

1960年代までの日本と以後の日本

発展途上の低所得の国では勤務先が不足しているわけですから、生活資金を稼ぐために起業する自己雇用者が多くなります。

昭和20年代、30年代前半の日本が、そうでした。商品を並べておきさえすれば、飛ぶように売れた時代です。

経済が発展して規模の経済の時代となると、労働力が不足していて賃金も上昇しているので、生活資金を稼ぐために起業する人はごく僅かになってしまって、ほとんどの人が雇われることを選択するようになります。

1960年以降の日本が、そうでした。

 

条件の良い雇用先の減少

経済が成熟して所得水準も上昇すると、規模の経済の時代が終了します。

働く人の高い能力や高度な技術を活用できる環境が整っているので、ベンチャー起業などの事業機会活用型の起業が増加します。

また、企業の生産性が向上するので、賃金労働者の雇用が減少します。

バブル経済以後の日本は、製造業の生産性が極端に向上して行った結果、条件の良い雇用先が減少してしまって、非正規雇用の雇用先が多くなって行ったと想像しています。

生産性の高い企業(条件の良い雇用)から、生産性の悪い企業(条件の悪い雇用)へと雇用が移動して行って、その結果として、報酬格差が拡大して行ったと年老いた珈琲豆焙煎屋は解釈しています。

 

アメリカでは自営業者・フリーランスが増えている

アメリカでは起業が活発で、自営業者の数は増加傾向にあると言われています。

規模の経済の力が相対的に弱くなったことと、自営業向き商売の事業可能範囲が拡大したのが、その理由だとされています。

企業の技術水準は人的資本に依存しているわけで、人的資本の蓄積なくして企業の存続は不可能なはずなのに、新卒者の半分以上が条件の良い就職先を見つけられない状況が続いています。

技術・環境が変化したことで、低資本でも起業が可能な状況になっています。

社会システム的な不利益を考慮しなければ、ほとんどの人が自営業の自己雇用者として働くことが可能になっていると考えています。

ですから、賃金労働者として働く場所がなくても、収入は少なくなると思いますが、仕方なく、自営業者として働くという方法もあります。

 

零細生業商売の自営業者の懐具合

働く人には、賃金労働者と自営業者(自己雇用者)と経営者の3種類の人があると考えています。

でも、日本の社会システムは、自営業者(自己雇用者)を経営者に分類しています。

「商品を並べて置きさえすれば、飛ぶように商品が売れた時代」、その時代の自営業者は賃金労働者よりも何倍か経済的に恵まれている人が多数存在していました。

現在(2021年)はというと、反対になっていて、条件の良い雇用先で働いている賃金労働者なら自営業者(自己雇用者)よりも何倍も経済的に恵まれています。

「自営業者(零細生業の個人事業主)」という言葉から「貧乏」を連想するのが、今の日本です。

政治・行政サイドの自営業者(自己雇用者)への対応ですが、「商品を並べて置きさえすれば、商品が飛ぶように売れた時代」のまま、ほとんど変化していないか、その頃よりも悪くなっています。

自営業者(自己雇用者)とは、自分で自分に雇用されている労働者だと、政治・行政サイドにちょっとだけ認識を変えてもらうことができれば、自営業者(自己雇用者)を選択する人が多くなると思います。

誰かに雇用されるのと自分で自分を雇用するのが、経済的条件や社会制度的条件がそれほど変わらないなら、自分で自分を雇用する人が多くなるはずだと考えています。