政府は、個人事業主などフリーランスで働く人を保護するため、労災保険に加入できるよう制度を改正する方針を固めたと報じられています。(2020年6月24日、東京新聞Tokyo web)
年老いた珈琲豆焙煎屋は、個人事業主(自営業者、フリーランス)を、自分で自分を雇用している労働者だと考えているのですが、行政の取り扱いでは経営者に分類されています。
もしかしたら、今後、個人事業主(自営業者、フリーランス)に対する行政の対応に変化が現れてくるのかもしれないと期待しています。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、30代の後半に脱サラ、それから約30年間、自営業者(フリーランス)で働いています。
現役で働いている人を対象とする社会福祉制度ですが、どこかの組織に属して働いている人たち中心の制度となっていて、個人事業主・自営業者(自己雇用者、フリーランス)は、なかなかその恩恵を受けられません。
健康保険制度ですが、どこかの組織に属して働いている人たちが加入している健康保険と、個人事業主が加入している国民健康保険を比べると、一目瞭然、前者の方が制度的に優れています。
年金制度も、どこかの組織に属して働いている人たちが加入する厚生年金と、自営業者・個人事業主が加入する国民年金とでは、給付額に雲泥の差があります。
国民年金の給付額が少ないのは、保険料として収める金額が少額だからなのですが、収入が多くても収める保険料を増やすことができないわけです。
個人事業主(自営業者、フリーランス)は、健康保険制度でも年金制度でも、どこかの組織に属して働いている人たちと比べて制度的に不利になっていて、労災にも加入できないわけですから、我が身を守るために、昔なら有限会社、現在なら合同会社を設立することになります。
そして、売上が少なくて会社設立の無理な個人事業主は、何かアクシデントが発生した時の備えとして、高額の保険料を支払って民間の保険に加入するわけです。
参考までに、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦は、民間保険の保険料を毎月数万円支払っています。
2年前だったか3年前だったか忘れたのですが、インターネットを利用するクラウドサービスが発達することで、アメリカの全労働者の50%が自己雇用者(フリーランス)になるという予測が報じられていたのを覚えています。
クラウドサービスが生み出す雇用は、自己雇用者たる自営業者を生み出す雇用だと予想されているのだと思います。
アメリカがそうなら、日本も、おそらく、その方向に進んで行くのだと思います。
半世紀前、自己雇用者の比率が高いということは、その国の経済の後進性の象徴だったわけですが、21世紀の最初の10年が終了して、新しく始まった10年においては、経済先進国の一つの目安になるのかもしれません。
考えてみれば、経済先進国では、大量生産・大量消費の時代が終了して、脱工業化社会の時代に向かっているわけですから、自己雇用者が増加する方向に進まなければ、経済の水準を保つことも、雇用を維持することも不可能なのだと思います。
「高所得国の経済は、需要の慢性的な低迷と遅い経済成長の体質にあり、バブルがなければ成長しない」という意見もあるわけですから、経済構造の変革は不可避なのだと思います。
ということで、自己雇用者・フリーランスの時代を見越して、国や地方公共団体に、自己雇用者優遇政策の導入を期待したりしているのですが・・・。
自己雇用者・フリーランスは高いリスクを抱えているのですが、自己雇用者・フリーランスが自己雇用者・フリーランスのままで存在している限り、そのリスクに対する見返りがものすごく少ないわけです。
アメリカのスモールビジネス(orマイクロビジネス)には、活気が満ち溢れています。
でも、日本のスモールビジネス(orマイクロビジネス)には、活気がありません。
日本のスモールビジネス(orマイクロビジネス)に活力を導入するためにも、もう少し自己雇用者・フリーランス・自営業者を公租公課や社会制度での優遇政策を導入しても良いような気がします。
年老いた珈琲豆焙煎屋は、これまでの経験から、政府・行政に個人事業主は労働者だと認識してほしいと考えているわけです。おそらく、個人事業主を労働者と認識する政策を導入しなければ、またまた失われた新しい10年・20年を過ごすことになるような気がします。
ちなみに、年老いた珈琲豆焙煎屋は、 地方の中核都市にて、夫婦2人だけで営む小さな自家焙煎コーヒー豆小売店「エカワ珈琲店」を、細々とですが、もう彼此30年近く営んでいます。