70歳、年老いた珈琲豆焙煎屋の残日録

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路地裏の経済学、古き良き昭和の路地裏の匂いがする1980年代のベストセラー経済書

今から40年くらい前の昔、その頃存在していた日本長期信用銀行という大手銀行の現役銀行マン(竹内宏さん)の著書、『路地裏の経済学』という本が静かなベストセラーを続けていました。

現在(2021年)と違って、その頃の地域商店街は、市民生活にとって欠くことのできない存在でした。

『路地裏の経済学』は、地域商店街を構成している個人商店を材題にして、事業と生業の違いをわかり易く解説していたと記憶しています。

 

特定の技能・能力を持っている人がいて、はじめて経営が成り立つのが生業で、そういった特定の人がいなくても経営を維持・継続することができるのが事業だと、書いてあったのを記憶しています。

商店街を構成している、魚屋、八百屋、精肉店、雑貨屋、花屋、喫茶店といった個人商店だけでなくて、街のお医者さんや税理士事務所、弁護士事務所なども生業の部類に入ります。

 

医院ならお医者さんが、税理士事務所なら税理士さんがいなければ営業ができません。

夫婦で営業している個人商店も、どちらかが働けなくなれば営業の継続が困難になります。

しかし、事業の場合、人ではなくて組織で仕事をしているので、ある特定の人が退職したりしていなくなっても営業を維持・継続することができます。

 

 

 

「路地裏の経済」がベストセラーになっていたのは1980年代ですが、それから20年以上の月日が流れて、2000年代の地方の町では、地域商店街だけでなく、その地方の中心商店街も消滅しようとしていました。

何故、商店街が成り立たなくなってしまったのか、その理由は簡単です。営業環境が、急激に変化してしまったからです。

資本力・営業力のある事業会社が生業店の領域にまで進出することができるようになって、個人経営の零細生業店が競争に負けてしまったからです。

 

1990年代、製造業の生産性が高くなって行って、製造業からサービス業へ勤労者が移動して行きました。

賃金の高い業界から賃金低い業界に勤労者が移動して行って、商店街と競争関係にある流通企業や飲食チェーン店が、優秀な人材を安い人件費で、それも非正規の従業員として雇用できるようになりました。

その結果、価格・サービス競争で太刀打ちできなくなって、商店街から商店が消滅して行ったと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

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2000年代の後半だったと思います。

知り合いの老舗日本料亭の社長が、「給料はそれほど高く無いけれど、うちの従業員は正社員」、「だけど、経営規模を急拡大している飲食チェーン店は、非正規の従業員を一律評価して、ほほ最低賃金で雇っている」と語っていたのを記憶しています。

事業、生業の別なく、大競合の時代に突入していて生き残るためには時代の流れについて行くしか道が無い、2000年代の後半頃は、そのように考えていました。

今(2021年11月)は、そのようには考えていません。10何年かの間に、またまた営業環境が変化しています。

 

「路地裏の経済学」の主役だった生業商売にも、新しい未来が開け始めているような気がします。

「とんかつ屋の悲劇」という言葉を調べていて、そのことを強く感じました。

「とんかつ屋の悲劇」に登場するような街で人気のとんかつ屋さんに対抗する術を、外食チェーン店は持っていないようですから・・・。

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「路地裏の経済学」には、続編が存在しています。もちろん、著者は竹内宏さんです。

 

竹内宏さんが勤めていた日本長期信用銀行は、バブル経済崩壊で大量の不良債権を抱えて1998年に経営破綻、一時的な国有化を経て外資に売却されて、2000年に新生銀行となっています。

2008年、竹内宏さんは、「路地裏の経済学・最終章」として『エコノミストたちの栄光と挫折」という本を東洋経済新報社で出版しています。