日本がバブル経済に突入する少し前、1980年代の前半、竹内宏さんの著作「路地裏の経済学」がベストセラー街道を走っていました。
初版は、東洋経済新報社発行だったと思うのですが、定かではありません。
年老いた珈琲豆焙煎屋が住む和歌山市で、当時、一番の大型書店だった宮井平安堂書店で、平積みされていた「路地裏の経済学」を購入して読んだ記憶が残っています。
ちなみに、宮井平安堂書店ですが、現在は店じまいしています。
もう一度読んでみたいと思い立って、家中を探し回ったのですが見つけられません。おそらく、処分してしまったのだと思います。
「路地裏の経済学」は、アマゾンKIndle版が新潮文庫から出ています。
「路地裏の経済学」が出版された1980年代前半は、日本経済が我が世の春を迎えつつある時期で、高度経済成長時代の日本の昭和の風景が、姿を消しつつあった時期だったと記憶しています。
フォーマルな経済が日本経済の成長を牽引するのは、2020年の現在も、1980年代の昭和の頃も同じだと思いますが、当時は、路地裏経済の受け持っている役割も大きかったような気がします。
1980年代末頃までの日本経済は、路地裏経済を容認できる経済だったような気がします。それが、1990年代に入って、路地裏経済を容認できない経済へと移って行って、失われた30年に突入して行ったような気がします。
2020年の今、もう一度、路地裏経済がフォーマルな経済に及ぼす影響について考えてみる必要があるのかもしれません。
竹内宏さんの著書「路地裏の経済学」は、今こそ必要な本なのかもしれません。
年老いた珈琲豆焙煎屋の思い込みかもしれませんが、「路地裏経済」は経済統計に表れ難い経済でアングラ経済的な面を持っています。
しかし、「路地裏経済」が存在していたから、日本の短期間での戦後復興が可能だったような気がします。
戦争で「フォーマルな経済」は壊滅的打撃を受けたわけですが、「路地裏経済」が何とか持ちこたえていて、戦後日本経済の底力の源になったのだと思います。
おそらく、「路地裏経済」は、財務当局にとっては管理の難しい経済だと思います。
『消費税』が導入されて、「路地裏経済」の衰退・凋落が始まって、「日本の失われた20数年」が始まったと考えています。
バブルの時代に脱サラして商売人の道に入って、その数年後に「日本の失われた20数年」が始まって、デフレ経済の中で苦しんで来た零細生業パパママ店の親父は、「路地裏の経済」が元気に存在できた時代を懐かしんでいます。