
75歳。
世間では「後期高齢者」と呼ばれる年齢です。
けれど、私にとってこの数字は弱みではなく、むしろ“物語の核心”になりつつあります。
何故かというと。焙煎歴30数年、75歳が「唯一無二のブランド」になるからです。
ジジだけロースターという生き方
40代を目前にして脱サラし、家族で始めた小さな自家焙煎コーヒー豆の店。
パパママロースター(夫婦二人だけの珈琲豆焙煎屋)として30年以上、焙煎機の前に立ち続けてきました。
今は妻に先立たれ、店主の私ひとりでしているジジだけロースターです。
年金だけでは暮らしは成り立ちません。
だからこそ、焙煎という仕事を続ける必要があります。
しかし、必要だから続けているのではありません。
私にとってコーヒーは「趣味」であり「生き甲斐」であり「人生そのもの」です。
焙煎機の前に立つことが苦痛どころか、ありがたいとさえ思っています。
75歳という年齢は、弱みではなく“価値”になる
普通の仕事なら、75歳という年齢は「もう引退の時期」と見られるかもしれません。
しかし、自家焙煎コーヒー(クラフトコーヒー)の世界では事情が違います。
焙煎歴30数年。
昭和から続く直火式の焙煎。
昔ながらの味を守り続ける頑固な爺さん焙煎人。
こうした物語は、若い店には絶対に真似できません。
高齢の焙煎人は、クラフトコーヒーの世界では希少な存在です。
「75歳の焙煎人がひとりで続けている店」というだけで、価値があると言ってくださるお客さんもいます。
私の人生そのものが、焙煎の歴史であり、ブランドだと思い始めています。
物語は、最強の差別化ツール
焙煎コーヒー豆は、どの店でも売っています。
焙煎機も、どこでも買えます。技術は学べば身につきます。
しかし、「物語」は真似できません。
私が歩んできた30数年の焙煎人生。
夫婦で始めた小さな店の歴史。
小型のドラム式焙煎機にこだわり続けた理由。
昭和の珈琲文化を今も守りたいという思い。
こうした物語は、商品説明やブログに書くだけで、立派なブランディングになります。
クラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー)の世界では、物語こそが最強の差別化ツールです。
そして、私の物語の中心には「75歳」という年齢がある。
それは弱みではなく、唯一無二の“武器”だと思い始めています。
これからも、焙煎機の前に立ち続ける
私は、これからも爺さんロースターとして焙煎を続けます。
75歳でも、80歳でも、焙煎機の前に立てる限りは続けたい。
焙煎という仕事を持っていることは、私にとって幸せです。
そして、その仕事が誰かの一杯のコーヒーになることは、もっと幸せです。
人生の最終戦に差し掛かった今、ようやく気づきました。
私の焙煎人生そのものが、エカワ珈琲店の大きな資産なのだと。
最後に
「75歳の焙煎人が作るコーヒー」
この言葉に心を動かしてくれる人がいる限り、私は珈琲豆焙煎屋商売を続けられます。
そして、これからも物語を紡ぎ続けることができます。
焙煎機の前で、静かに、ゆっくりと。


