
コーヒーの栽培
・・・一杯のコーヒーは畑から始まる
コーヒーの旅は、熱帯の畑から始まります。
コーヒーノキは、赤道を挟んだ「コーヒーベルト」と呼ばれる地域──中南米、アフリカ、アジア太平洋の温暖な土地で育ちます。
栽培に求められる条件は意外と繊細です。
気温:年間を通して15〜24℃ほど
雨量:適度な降雨と乾季のメリハリ
土壌:水はけがよく、栄養豊富
日照:強すぎず弱すぎず、ほどよい光
コーヒーノキは苗木から育てられ、3〜5年で収穫が可能になります。
白い花を咲かせ、やがて緑色の実が赤く熟して「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実になります。
収穫方法は地域によって異なり、
手摘み(セレクトピッキング):完熟したチェリーだけを選んで摘む方法
ストリップピッキング:枝の実を一度に収穫する方法
などがあります。
手摘みは手間がかかりますが、品質の高いコーヒーを生み出します。
農家の人々が丹精込めて育てたチェリーは、精製所へ運ばれ、果肉を取り除き、生豆として世界へ旅立っていきます。
一杯のコーヒーの背景には、畑の環境と農家の技術がしっかりと息づいているのです。
コーヒーの精製と流通
・・・一杯のコーヒーが世界を旅するしくみ
コーヒー生豆は、コーヒーチェリーを収穫したあと、果肉を取り除き、乾燥させ、選別する「精製(Processing)」という工程を経て商品になります。
この精製方法にはいくつか種類がありますが、代表的なのは次の三つです。
ナチュラル(乾式精製)
チェリーを果肉ごと天日で乾燥させ、完全に乾いたあとに脱穀して種子を取り出す方法。
甘みが出やすく、果実感のある風味が特徴です。
エチオピアやブラジルで多く採用されています。
ウォッシュド(湿式精製)
果肉を除去し、水を使ってミューシレージ(粘質物)を洗い流す方法。
発酵工程を経るため、クリーンで透明感のある酸味が生まれます。
中南米や東アフリカで広く使われています。
パルプドナチュラル/ハニープロセス
果肉を一部残したまま乾燥させる方法。
ウォッシュドとナチュラルの中間のような風味で、甘さと酸味のバランスが良いのが特徴です。
精製は、コーヒーの品質を左右する非常に重要な工程です。
同じ産地・同じ品種でも、精製方法が違えば風味が大きく変わります。
世界を巡るコーヒー豆の旅
精製されたコーヒー生豆は、袋詰めされ、港へ運ばれ、世界中のコーヒー消費国へ輸出されます。
この流通の流れは、次のような段階で進みます。
農園で収穫・精製
輸出業者(エクスポーター)が買い付け、港へ輸送
船で消費国へ輸出(数週間〜数か月の航海)
輸入業者(インポーター)が受け取り、焙煎業者へ販売
焙煎業者が焙煎し、店舗や家庭へ届けられる
コーヒーは農産物でありながら、世界規模の巨大な流通網を持つ「国際商品」です。
一杯のコーヒーが私たちの手元に届くまでには、農家、精製所、輸出業者、輸入業者、焙煎業者と、多くの人の仕事が積み重なっています。
その長い旅路を思うと、毎朝の一杯が少し特別に感じられるかもしれません。


