
『エカワ珈琲店の焙煎豆商売はいま、どんな段階に来ているのか』
──店主の私が、正直に書いてみます。
エカワ珈琲店のコーヒー生豆は、100gあたりだいたい200〜250円で仕入れている。
焙煎すると水分が抜けて15%ほど軽くなり、売れ残りやロスも出る。
そうすると、最終的な原価は100gあたり250〜300円ほどになる。
一方で、焙煎豆の平均的な販売価格は100gあたり650〜700円。
数字だけ見れば、粗利は350〜450円ほどで、粗利率は50%前後。
クラフトロースター(コーヒー豆自家焙煎店)としては悪くない数字だ。
けれど、商売というのは数字だけでは語れない。
最近、私は「この店の焙煎豆商売はいま、どんな段階に来ているのか」をよく考えるようになっています。
価格の上限が見えてきた
クラフトコーヒー(自家焙煎コーヒー豆)の世界では、100gあたり1000円を超える豆も珍しくない。
しかし、和歌山市で暮らすお客さんの多くにとって、コーヒーは“毎日の飲み物”だ。
だから、エカワ珈琲店の豆は650〜700円あたりが自然な天井になってくる。
無理に高級路線へ進むより、「普段飲みの美味しいコーヒーを、適正価格で」という姿勢のほうが、この店らしい。
値上げで利益率を改善する余地は、もうほとんど残っていない。
だが、それは悪いことではなく、むしろ商売が成熟してきた証拠だと私は思っている。
それでも商売が続いている理由
粗利はあるが、店主の私が焙煎・袋詰め・接客・仕入れ・管理を全部やっているので、時給換算すれば決して高くはない。
それでも、この商売が続いているのには理由がある。
● 量を売らなくても成り立つようになった
昔のように「安く大量に売る」必要がなくなった。
少量焙煎・少量販売でも、単価が上がったことで売上が維持できている。
600gまとめ買いの常連さんがいるのも大きい。
● “変わらない安心感”が価値になっている
SNS映えはしないけれど、うちは「生活の一部としてのコーヒー」を提供している。
この“変わらなさ”こそが、長年の常連さんにとっての価値になっていると思う。
●昔ながらのやや深煎り(中深煎り)文化との相性の良さ
和歌山市は「昔ながらのやや深煎り」の珈琲文化が根強い。
「昔ながらのやや深煎り(中深煎り)」は焙煎の微調整で個性を出しやすく、価格競争にも巻き込まれにくい。
店のスタイルと地域の嗜好が、うまく噛み合っている。
課題もあるけれど、悲観はしていない
もちろん課題もある。
私ひとりで全部やる構造
常連さんの高齢化
SNSでバズるタイプの店ではないため新規客の流入はゆっくり
けれど、これは「拡大を目指さない商売」では避けられないものでもある。
むしろ、私はこの“ちょうどいい大きさ”を気に入っている。
商売は“拡大”から“深化”へ
エカワ珈琲店の焙煎豆商売は、いま、“量を追わず、深さで勝負する段階”に来ている。
無理に売上を伸ばす必要はない。
むしろ、常連さんの満足度をさらに高める方向へ進むほうが自然だ。
たとえば──
まとめ買いのお客さん向けの“ブレンドコーヒー豆”
焙煎度の微調整
週替わりのサービスコーヒー豆(2026年7月中頃から実施します)
店の歴史や焙煎の考え方をブログで発信すること
こうした取り組みは派手ではないが、店の魅力をじわりと深めてくれる。
大きく儲からないが、長く続けられる商売
エカワ珈琲店の焙煎豆小売は、利益率は高くないが、価格と客層が安定し、成熟した商売として成立している。
派手さはない。
けれど、地域に根付いたクラフトロースター(コーヒー豆自家焙煎店)として、“長く続けられる商売の形”に近づいていると感じている。
これからも、量ではなく深さを大切にしながら、
日々の暮らしに寄り添うコーヒーを届けていきたいと思っています。


