
4月4日の土曜日は、まるで季節外れの台風のような一日だった。
風は唸り、雨は横殴りで、店の前の通りを歩く人影もほとんど見えない。
そんな天気のせいか、店に来てくれたのは3人だけ。
しかも、3人とも正午(12時)から12時30分のあいだに集中してやって来た。
エカワ珈琲店は、今は爺さんがひとりだけで商売をしているが、商売の形は昔ながらの零細生業パパママストア。
今は亡き妻と二人三脚で、30年以上、コーヒー豆自家焙煎の商売を続けてきた。
仕入れのこと、焙煎のこと、店の見せ方のこと──どんな小さなことでも、二人で話し合いながら決めてきた。
だから、コーヒー豆自家焙煎店商売の仕事をしていると、ふとした拍子に妻との思い出がよみがえる。
けれど不思議なもので、店舗でお客さんに対応しているとき、通信販売の荷造りをしているとき、焙煎機の音を聞いているとき、豆の香りに包まれているときは、悲しさや寂しさよりも、どこか温かい気持ちのほうが勝ってくれる。
3月の中頃、体力も気力もまだ戻りきっていない状態で仕事を再開した。
それでも、再開してよかったと今は思っている。
商売というより、生活のリズムを取り戻すための商売再開だったのかもしれない。
お金のことだけを考えれば、焙煎コーヒー豆の小売に集中するのが一番効率がいい。
でも、それだけではどうにも物足りない。「面白さ」が足りないのだ。
そこで、ほとんど儲けにはならないと分かっていながら、テイクアウトコーヒーと店内での立ち飲みをコーヒー豆自家焙煎店商売に加えてみようと思い立った。
儲けられないとわかっているから、新しい設備を入れるつもりはない。
だから、店内のレイアウトを少し変えるだけで対応するつもりだ。
お金はかけない。工夫だけでやる。
その日(4月4日の土曜日)は店が暇だったので、思い切って掃除とレイアウト変更に取りかかった。
ところが、まだ体力が戻っていないらしく、少し動いただけで息が切れてしまう。
椅子に腰を下ろして休みながら、また少し動いて、また休む。
そんな調子だから、一気に仕上げるのは無理だ。
1週間くらいかけて、ゆっくり整えていくつもりだ。
強い風の音を聞きながら、ふと気づく。
こうして店の中で少しずつ手を動かしている時間こそ、今の自分にとって大切な「生きるリズム」なのだと。
追記(2026年4月7日)
1週間で店のレイアウトを変更するのは、私の健康状態・体力では無理みたいです。
4月中に何とかなればと思っています。

