エカワ珈琲店の出来事

エカワ珈琲店の爺さんと婆さんの日常と仕事の出来事、それと備忘録・雑記帳。

再開の一粒、静かな焙煎所にて

2月末の4日間、循環器のカテーテル治療のために入院していました。

たった 4日間とはいえ、74歳の身体にはなかなか堪える(こたえる)もので、退院した日に10メートル程度の距離を少し速足で歩いただけで息が上がる始末。

体力の衰えを、身をもって感じています。

ネットで調べてみると、カテーテル治療後の仕事復帰の目安は、事務職なら数日、営業職なら2週間、肉体労働なら2週間から半年、場合によっては1年かかることもあるとのこと。

もちろん、心臓リハビリテーションを続けることが前提です。

 

私の商売は、自家焙煎のコーヒー豆を扱う小さな店。

焙煎機を扱い、豆を選び、袋詰めし、発送し、店頭に立つ。

どれもが手仕事で、ひとつひとつに神経を使う。

体を動かすだけでなく、気も使う。だからこそ、やりがいがあるし、面白い。

でも、今の私の体には、なかなかの重労働です。

 

自家焙煎コーヒー豆小売の仕事は、復帰の目安「営業職なら2週間」と同じレベルの体力を使う仕事です。

でも、これらはおそらく、現役世代を前提にした話。

74歳の私には、同じ日数ではとても足りない気がします。

倍の時間、つまり1か月くらいは、静かに体を整える時間が必要なのではないか・・・、そんなふうに思っています。

 

けれど、3月中には商売を再開したい。

いや、再開しなければ、という気持ちもあります。

なぜなら、商売というのは「始めるタイミング」を逃すと、気持ちがどんどん遠のいてしまうからです。

「もう少し体力が戻ってから」「もう少し暖かくなってから」……そうやって先延ばしにしているうちに、気がつけばいくつもの季節が変わっているかもしれません。

だからこそ、今、少しでも動き出したい。

完璧じゃなくても、全部はできなくても、できる範囲で、できる形で。

小さな一歩でも踏み出せば、きっと流れは戻ってくる。そんな気がしています。

 

そこで、思い切って「小さく始める」ことにして、3月中には営業を再開しようと決意しています。

まずは、販売する銘柄を2種類くらいに絞ります。

どちらも、これまでのお客さんに特に好まれてきたブレンドコーヒー豆。迷った末に選んだのは、焙煎していて自分の気持ちがふっと軽くなるような、そんな香りを持つ豆たちです。

 

焙煎は週に1度だけ。2バッチ(2回の焙煎)、焙煎量は6kgほど。

焙煎機の前に立つ時間も、体に無理のないように。

火加減を見ながら、豆のはぜる音に耳を澄ませ、香りの変化を感じる。

あの時間は、やっぱり特別です。

 

店舗営業は週末の1日だけにします。

のれんを出すのは、週に一度の「小さな市」のような感覚で。

通販の発送も週に1度。ご注文いただいた分を、心を込めて袋詰めし、丁寧に送り出します。

在庫は多くは作りません。

売り切れたら、また来週。そんな「売り切れ御免」のスタイルで、ゆるやかに、でも確かな一歩を踏み出してみようと思っています。

 

焦らず、無理せず、でも止まらず。

水が少しずつ流れを取り戻すように、商売もまた、静かに動き出せたらと思っています。

再開の一滴が、また新しい流れをつくってくれることを信じて。