エカワ珈琲店の出来事

エカワ珈琲店の爺さんと婆さんの日常と仕事の出来事、それと備忘録・雑記帳。

「働ける幸運」と「介助する日々」

30年以上の間、夫婦ふたりで暮らして来ました。

夫婦ふたりのうちどちらかが病を抱え、介護や介助が必要になると、もう片方は自然とその役割を担うことになります。

外で働いているのなら、働く時間は削られて収入は減り、生活はじわじわと厳しくなっていきます。そんな現実に、エカワ珈琲店の夫婦も直面しています。

 

けれど、エカワ珈琲店は自家焙煎コーヒー豆を商っている自営業者で、「焙煎工房兼店舗兼自宅」で仕事をしているという、少しだけ特別な環境があります。

自宅で仕事ができるということは、介護・介助をしながらでも、なんとか仕事を続けられるということです。

これは、もしかすると「運が良い」と言えるのかもしれません。

 

私たち夫婦の家業であるエカワ珈琲店は、夫婦ふたりだけで営む零細生業規模の自家焙煎のコーヒー豆小売専門店です。

夫は高齢ながら元気に動ける状態で、妻は身体障害者手帳1級を持ち、週3回の透析治療に加え、他の症状でも通院が必要です。

歩行には常に介助が必要で、その役割は夫が一人で担っています。

 

自宅の軒先を店舗にしていて、窓スタンドで自家焙煎コーヒー豆を小売販売しています。

以前は休憩室に使っていた店舗部分を妻の居室にして、コーヒー豆自家焙煎店の仕事をしながら、日々、介護・介助・家事・焙煎作業を並行して行っています。

夫は軒先店舗と妻の居室になっている部分の境目の空きスペースで、簡易ベッドを使って寝起きしています。

 

月曜から金曜までは通院の介助(付き添い介護)が必要なので店舗営業はお休みしていますが、土曜日と日曜日の週2日、正午から午後4時までは店舗を営業しています。

もちろん、かつてのようには稼げません。

でも、コーヒー豆の焙煎は週3日から4日は可能で、少しずつでも収入を得られていることに感謝しています。

今は、妻の症状が安定せず大病院への通院治療が欠かせませんが、もし症状が落ち着けば、送迎付きの病院で透析を受けられる可能性も出てきます。

そうなれば、土曜日と日曜日に加えて、平日にも2〜3日、3時間から4時間くらい営業できるようになるかもしれません。

 

この3年間(2023年~2025年)、我が家(エカワ家)には「運」がないと感じることが多かったわけです。

でも、こうして自宅で仕事を続けられる環境があることは、やはり「運が良い」と言えるのかもしれません。

介護・介助・家事と仕事の両立は、決して簡単ではありません。

でも、焙煎の香りが漂うこの空間で、今日も小さな一歩を踏み出しています。