
和歌山市。
そこには、柔らかな夕日が街並みを優しく照らし、老後の生活を静かに包み込む穏やかな空気があります。
都会ほどの喧騒もなければ、田舎のような孤独もない。
その中間にある絶妙なバランスこそ、この街の魅力かもしれません。
私は74歳になります。
神経痛や花粉症に悩まされる日々ではありますが、この街ではまだ普通の生活を楽しめています。
和歌山城周りの散歩道では、木漏れ日が揺れ、時折聞こえる鳥のさえずりが心を和らげてくれます。
そんな時間が与えられるだけで、人はこんなにも豊かになれるのだと気づかされます。
和歌山市の穏やかな海風は、潮の香りを含みながら、冬でも柔らかい暖かさを運んでくれます。
夕暮れ時、光明院の境内で過ごしたひと時の静けさが私の心を深く癒してくれます。
和歌山市は、老後を迎えた私たちにも手を差し伸べてくれる場所です。
大都市のような豪華な施設はないかもしれませんが、それでも食材がすぐに手に入り、公園で自然を満喫でき、医療機関が整備されている。
それらが一つ一つ、老後の生活を支える土台となっています。
寂れた商店街の八百屋のお兄さんが、今日も笑顔で『これ、甘いよ』と声をかけてくれた。人のぬくもりが、老後の暮らしを支えてくれています。
そして、この街には「人」がいます。
顔なじみの八百屋のお兄さん・お姉さんと交わすちょっとした会話、道ですれ違う時の優しい挨拶。
これらの何気ない繋がりが、暮らしの温もりを生んでくれます。
孤独に苛まれる心を、ふとした瞬間に癒してくれる力があります。
もちろん、体力が衰え、選べる道が限られる中で、大都市の便利さに心が惹かれることもあります。
それでも私は、この静かな地方都市での暮らしに感謝を抱いています。
この街の人たちの温かさ、そして程よい充実感が、これからの私の日々を優しく支えてくれています。
老いるということ。それは新しい視点を与えてくれる旅路のようなものです。
この和歌山市で、その旅を楽しみながら生きていきたいと思います。

