とある地方都市で、零細生業パパママ経営のコーヒー豆自家焙煎店を、35年近くもの間、細々と営業を続けている老夫婦(夫が72歳、妻は63歳)がいます。
その店のオーナーである夫は、40歳を目前にして公務員を脱サラ、街の社長さんを夢見て頑張ったつもりでしたが、商売・経営の才能が不足していたのだと思います。
コーヒー豆自家焙煎店商売を順調な成長軌道に乗せることができず、20年前(2000年代の中頃)くらいからは、パパママ規模の生業商売に徹することにして、セミリタイア的な生活を楽しんでいます。
零細生業商売でセミリタイア的な生活を楽しむ秘訣は、商品である自家焙煎コーヒー豆に拘る(こだわる)職人気質と、零細生業商売でスムーズに食べて行ける程度は稼げる簡単な商売人気質を身に着けることだと思っています。
それらの気質を身に着けるのは、それほど難しい事では無いとも思っています。
その商売を好きになる、あるいは、その商売を好きになる努力を積み重ねることで、それらの気質を自然と身に着けることができると思っています。
筆者(年老いたコーヒー豆焙煎屋)夫婦は、コーヒー豆の自家焙煎とコーヒー豆自家焙煎店商売を好きになる努力を何年も続けて来て、今(2024年)では、完全に好きになっていて、生き甲斐にもなっています。
ですから、コーヒー豆自家焙煎店商売をセミリタイア的に営んで行くのに必要な、職人気質とな商売人気質は身に着けているつもりです。
筆者夫婦は、その二つの気質を身に着けているので、気楽にセミリタイア的な生活を楽しみながら、何とか食べて行くことが出来ています。
もちろん、セミリタイア的に働いているわけですから、お金儲けとは縁がありません。
食べて行くだけを稼げるだけですが、セミリタイア的に働いて気楽に食べていけるだけを稼ぐコーヒー豆自家焙煎店商売とは、どのような仕事なのだろうかと気になる好奇心旺盛な読者も居るかもしれません。
その好奇心旺盛な読者向けに、ある地方都市の零細生業パパママ経営のコーヒー豆自家焙煎店が、どのような仕事をしているのかを平均化して紹介します。
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この記事は、キンドルでセルフ出版している電子書籍「コーヒー豆自家焙煎店マスターの独り言」にも収録しています。
- 【1】原料(コーヒー生豆)の購入
- 【2】コーヒー生豆から焙煎コーヒー豆へ
- 【3】焙煎サイクル
- 【4】焙煎プロファイルの作成
- 【5】個性的な自家焙煎コーヒー豆を売っている
- 【6】文化と文化の橋渡しをする商人
- 【7】自家焙煎コーヒー豆の生産能力
- 【8】自家焙煎コーヒー豆の販売価格
- 【9】高級な(価格の高い)自家焙煎コーヒー豆は売れない
- 【10】コーヒー豆自家焙煎店は儲からない
- 【11】セミリタイア的な働き方をしたいなら
【1】原料(コーヒー生豆)の購入
コーヒーノキから赤く熟したコーヒー果実を収穫して、その果実の皮と実を取り除いて種(たね)だけを取り出します。その種が、コーヒー生豆です。
コーヒー生豆生産地は、南北回帰線から赤道の間に点在する国々です。
コーヒー生豆は、生産地の国々から消費地の国々に輸出されます。
生産地の国々からコーヒー生豆を輸入しているのは、主に消費地の貿易商社です。
コーヒー生豆は、貿易商社からコーヒー生豆問屋さんを経由して、コーヒー豆の焙煎屋さんに販売されるのが一般的です。(日本のコーヒー生豆流通ルート)
コーヒー豆自家焙煎店の場合、貿易商社→コーヒー生豆問屋→ロースター(ある程度の規模を持つコーヒー豆の焙煎屋さん)→コーヒー豆自家焙煎店というルートでコーヒー豆を購入することもあります。
パパママ規模の自家焙煎コーヒー豆小売専門店を、ある地方都市で30数年間営んでいる自家焙煎コーヒー豆小売専門店は、貿易商社からコーヒー生豆を直接購入しています。
貿易商社から直接購入できているのは、その貿易商社がコーヒー生豆の輸入で後発だったからです。
スペシャルティーコーヒー生豆の場合、コーヒー豆の焙煎屋さんが直接、生産地の農園を訪問して、あるいはインターネットオークションで直接購入することもあるようですが、ある地方都市の零細生業規模の小さなコーヒー豆自家焙煎店には関係の無い話です。
ただし、パパママ規模のコーヒー豆自家焙煎店も、そのコーヒー生豆調達先である貿易商社も、コーヒー生豆の倫理的調達の必要性については十分認識しています。