喫茶店でコーヒーを飲む時代から、家庭やオフィスでコーヒーを淹れて飲む時代になるだろうと予測して、自家焙煎コーヒー豆小売商売(コーヒー豆自家焙煎店商売)を開始したのが1989年(平成元年)の夏でした。
そのコーヒー豆自家焙煎店の屋号は、「エカワ珈琲店」と言います。
ちなみに、エカワ珈琲店は、年老いた珈琲豆焙煎屋とその連れ合いが二人だけで切り回している零細生業じじばば商売のコーヒー豆自家焙煎店です。
【参考】30年以上前から、今も昔も零細生業家族経営のコーヒー豆自家焙煎店のままで商売を続けています。
焙煎したコーヒー豆の消費パターン
年老いた珈琲豆焙煎屋だけがそのように予測していたわけではなくて、すでに、家庭やオフィスでのコーヒー消費をターゲットにした商売で成功を収めている人たちもいたわけです。
それから30年以上の年月が経過して、家庭やオフィスでコーヒーを淹れて飲むのが当たり前の時代を通り過ぎて、多種多様なコーヒーの消費パターンが存在する時代となっています。
希少性のある商売
年老いた珈琲豆焙煎屋が脱サラして自家焙煎コーヒー豆小売ビジネスの仕事に就いた1990年代の初めころ、焙煎したコーヒー豆は、手頃な価格でどこででも手に入る商品では無かったのだと思います。
特に、地方の町では、自家焙煎コーヒー豆小売ビジネスは希少性のある商売でした。
当時(1990年代前半)、都会では、焙煎したコーヒー豆を低価格で販売するコーヒー豆自家焙煎店が業績を伸ばしていました。
和歌山市という地方の町で、初めて、その物真似商売を開始したのがエカワ珈琲店だと自負しています。
30年前、立地商売が通用していた
何といっても、和歌山市は人口30数万人(1990年頃の人口は約40万人)の地方都市ですから、そして、エカワ珈琲店は、オフィスが集中している中心市街地に立地しているわけですから、繁盛店になれるだけのオフィスコーヒー需要と家庭需要が存在していました。
それに加えて、競争相手がほとんど存在していなかったので、商売下手の年老いた珈琲豆焙煎屋でもまあまあの繁盛を手に入れることができました。
同質化した市場で価格・サービス競争をした結果
その後、都会を拠点とするオフィスコーヒーサービス専門会社が進出して来て、地元の珈琲会社もオフィスコーヒー需要に的を絞って攻勢をかけて来た結果、瞬く間にオフィスコーヒーサービス市場から追い出されてしまったわけです。
家庭用焙煎コーヒー豆市場も同じようなもので、規模の大きな珈琲屋さんの進出によって、エカワ珈琲店が開拓して来た市場は荒らされ壊滅的な打撃を受け、廃業一歩手前まで追い詰められたこともあります。
シャッター商店街とストロー効果
和歌山市は、それなりの人口を誇る地方都市ですから、どのような商売であっても、上手く運べばそれなりの繁盛を比較的簡単に手に入れることができますが、都会から規模に勝る競合相手が参入できる市場条件も整っています。
もっと人口の少ない町で、ある程度の繁盛を手にいれていたなら、苦労して開拓した市場を簡単に荒らされることは無かったのかもしれません。
そのようなことを考えたこともあるのですが、道路網が整備されることでストロー効果が発生して、地方の町の商店街がシャッター商店街になってしまっている現実を目にすると、地方の町で希少性を発揮できる商売は限られているのが理解できます。
今(2023年2月)、地方の町で商売を続けている個人商店の大半は、飲食店や製造小売り商売のパン屋さんや洋菓子屋さん和菓子屋さんなどに限られています。
オンラインショッピングの時代になって
個人商店はそのような状態ですが、2010年代に入ってからは、アマゾンなどの電子商取引で商品・サービスを購入するのが当たり前の時代になって、流通小売企業の実店舗販売も低迷しているようです。
流通小売の商売環境が一変しつあるわけですから、人口の少ない地方の町で商売を営んでいたとしても、流通小売りの地殻変動に巻き込まれるのを避けることはできないと考えるのが正解だと思っています。
【参考】考えて見れば、郊外のショッピングセンターは商売上のライバルですが、アマゾンは、エカワ珈琲店のパートナーです。