21世紀の現在、味は、塩味、酸味、甘味、うま味、苦味の5つの基本味に分類されています。
基本味とは、他の物を組み合わせても作り出せない独立した味のことで、料理の味の多くはこの5つの味覚で構成されていると言われています。
20世紀までは、塩味、酸味、甘味、苦味の4つが基本味とされていましたが、21世紀に入ってからは、それらの味に「うま味」を加えた5つの味が基本味とされています。
【目次】
基本味の条件
基本味は化学的に感じる味で、下の3か条に当てはまる味だと理解しています。
(1)他の基本味とあきらかに異なっている味
(2)普遍的な味。多くの食品に含まれている味。
(3)他の基本味と組み合わせても、その味を作り出すことができない味。
基本味の生理的意味
基本味の塩味・酸味・甘味・苦味・うま味は、それぞれに独特の味を持っていて、それぞれの独特の味は、動物が積極的に栄養を摂取して、有害物から身を守るのに役だっていると言われています。
生理的欲求に合致している植物の味は美味しく感じられますが、この事は、味に生理的な効果を予見させる信号(シグナル)としての意味があって、それを認知していることを示していると考えられています。
例えば、甘味は糖のシグナル、うま味はタンパク質のシグナル、塩味はミネラルのシグナル、酸味は腐敗物のシグナル、苦味は毒物のシグナルというように。
基本味の信号(シグナル)の役割
甘味は、エネルギー源が身体に入って来るお知らせで、血糖低下やエネルギー欠乏は、甘味に対する欲求を引き起こすと言われています。
酸味は、腐った食べ物を食べないようにするお知らせで、腐敗して酸っぱくなった食べ物などを暗示する信号だと言われています。
塩味は、身体に必要なミネラルの存在を教えるシグナルてす。
ミネラルの中で、特に重要なのはナトリウムで、体内の予備貯蔵量が極めて少ないので、不足しているときに塩をなめると美味しく感じます。
苦味は、身体に良くないものが入らないようにするお知らせです。
うま味は、主にアミノ酸や核酸などの味で、蛋白質や細胞成分が豊富に存在していることを示す信号です。唾液や消化液に影響を与えています。
基本味とは異なる味
辛味、脂肪の味わい、えぐ味、渋味などが、基本味と異なる味です。
基本味は、甘味・旨味・塩味・苦味・酸味の5種類の味覚です。
基本味は、舌にある味蕾を構成する味細胞を介して受容されます。
しかし、辛味や渋味は、味細胞では受容されないので味覚ではありません。
(1)辛味
トウガラシやコショー、サンショー、しょうが、ワサビなどの刺激的な味。
基本味は味覚神経で感じる味ですが、辛味は痛覚や温度覚で感じる味です。
例えば、トウガラシの辛味は、口腔内の痛覚を刺激して感じる味です。
(2)えぐ味、渋味
えぐ味、渋味も、辛味と同じ痛覚や温度覚で感じる味ですから味覚ではありません。
これらは、「あく」と呼ばれる不快な味として知られています。
渋味は、渋柿や茶のポリフェノール類などで感じられる口腔粘膜の収れん感だと考えられています。
渋味は、口の粘膜が縮められたような感覚になるので「収れん味」とも呼ばれています。
「収れん味」とは、渋柿を食べた後のしびれたような感覚です。
(3)脂肪の味わい
以前は、脂肪は、味では無いが食品の美味しさを増強する重要な物質だと考えられていました。
しかし、最近、脂肪に反応する舌の味蕾(みらい)細胞から脳に味を伝える「神経」が発見されて、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味に続く第6の味覚として「脂肪の味」が注目されています。
舌の味覚感受性
舌の味覚感受性について、一般的には、舌の先端部分は甘味に、舌の横の部分は酸味に、舌の根元の部分は苦味に敏感で、塩味は舌全体で同じような感じ方をすると言われています。