最近、1970年代の若者たちのファッションが、再び注目されているようです。
1970年代前半、10代後半~30代前半の若者たちのファッション需要をターゲットとするアパレル企業が急成長していました。
当時、日本のファッション消費を牽引していたのが、10代後半~30代前半の若い人たちだったわけです。
1970年、流行のファッションを身に着けた若い女性が街中を闊歩するエメロンのコマーシャルが注目されて、そのコマーシャルで流れる「ふりむかないで」の曲がヒットしていました。
若い男性たちはVANジャケットのファッションに夢中になって、百貨店で開催されるVANジャケットのバーゲンセールに殺到していました。
アバレル企業の急成長の一方の担い手は百貨店で、アパレル企業も急成長していましたが、百貨店も順調に業績を伸ばしていたわけです。
2021年、それから半世紀の歳月が経過しています。1970年の20歳が、2021年には70歳になっています。
2021年の日本社会は、3人に1人が公的年金受給資格を持つ65歳以上の高齢者で構成されている社会です。しかし、65歳以上の高齢者だと言っても、大半は高齢者向け社会福祉制度と縁の無い暮らしをしていて元気です。
年老いた珈琲焙煎屋は、現在(2021年春)69歳で、公的年金からの収入だけでは食べて行けないので働いて稼ぎ続けていますが、公的年金や企業年金だけで十分満足な生活を送れる人たちでも、70歳くらいまでは、数多くの人たちが第2の職場、第3の職場で働いて稼ぎ続けています。そして、彼ら彼女らは裕福です。
21世紀に入ってから、アバレル企業や百貨店の業績が芳しくないようですが、ユニクロなどは成長を続けています。
ユニクロの店内では、60代・70代の高齢者がファッションを楽しんでいるポスターが目に付くように掲げられています。そのようなポスターをアパレル企業の広告や百貨店で見かけたことがありません。
60代、70代の高齢者は、まだまだ元気です。働いて稼いでいる人も数多くいるわけですから、それなりに懐具合も裕福です。
年老いた珈琲豆焙煎屋のような貧乏な高齢者もいますが、懐具合の裕福な高齢者も多くなって来ています。
懐具合の裕福な高齢者が増えているわけですが、その裕福な高齢者の消費欲望を刺激する商品・サービスが少ないような気がします。
例えば、ファッションです。60代、70代の高齢者の消費欲望を刺激するタイプのファッション商品は、ほとんど存在していません。例えば、1960年代に流行したアイビーファッションのような、あるいは、1970年代に流行したジーンズファッションのような・・・。
プールにスタジオにジム、それにお風呂を完備したフィットネスクラブには、60代・70代の高齢者が殺到していて、元気に踊ったり、走ったり、泳いだり、筋肉トレーニングをしたりしています。
60代・70代の元気で裕福な高齢者の消費欲望は、40代・50代の世代とそれほど変わらないような気がします。自分が69歳の高齢者ですから、何となくわかります。
企業のマーケティング担当者は、10代後半から20代・30代を若者、40代・50代と60代・70代の元気で裕福な高齢者を中年と考えて仕事をするのが、現在の社会環境に一番適合しているマーケティングのような気がします。
50年近く前、最新のファッションを身にまとって街を歩く若い女性たちを主人公とする「ふりむかないで」のコマーシャルが人気を博していました。2010年代の後半、街を歩く60代・70代の女性のファッションを紹介する「OVER60 Street Snap」という本がベストセラーになっています。
OVER60 Street Snap ―いくつになっても憧れの女性
- 作者: MASA&MARI
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2014/09/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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