一般的に、夫婦で手取り年金収入が毎月20万円以上あれば、都会と田舎の中間的な性格を持っている地方の中核都市で、まあまあ余裕を持って暮らせるとされています。
公租公課を引かれての手取り年金収入20万円なら、1日7000円弱消費できます。そこに、それなりの貯えがあれば、普通は、まあまあ余裕を持って暮らせるのかもしれません。デフレ経済下の日本では、そうだったわけです。
今年の秋に70歳の誕生日を迎えるエカワ珈琲店の店主は、人口30数万人の中核都市和歌山市のシンボル和歌山城の近くで暮らしています。
医療施設や介護施設は充実していて、公営の文化施設やスポーツ施設も充実していて、民間の文化施設やスポーツ施設も賑わっています。
和歌山市には、郊外型の大規模ショッピングセンターやロードサイド型商業施設も数多く立地していて、食品スーパーの店舗も数多く営業しています。
電車や自動車で1時間~2時間あれば、大都会である大阪市に遊びに行くことができます。(大阪市に通勤している人も数多くいます)
地下鉄などの公共交通機関が整備されている都会と地方中核都市の最大の相違点は、自動車を所有して運転できなければ、ものすごく不便な生活が待っているということです。
62歳~65歳の3年間、自動車を所有しない・運転しない生活を実践して、その事を痛感しています。
エカワ珈琲店の店主とその連れ合いには9歳の年齢差があるので、現在(2021年3月)のところ、毎月の手取り年金収入は約7万5000円くらいです。年金以外の所得の方が多いので、介護保険料は天引きですが、国民健康保険料は別払いです。
エカワ珈琲店経営者夫婦の生活費は、大体1日に1万円くらい、毎月30万円くらい消費しています。
人生の手持ち時間がそれほど多くないわけですから、今くらいの生活レベルは最低でも維持したいと考えています。(理由があって、医療費に年間数十万円必要です。)
そんなこんなで、公的年金だけで暮らすのは無理ですから、自家焙煎コーヒー豆小売商売を夫婦2人だけで営んでいます。もちろん、零細生業パパママ商売です。
コーヒー生豆を商社から購入して、小型業務用コーヒー豆焙煎機を使って焙煎して、出来上がった自家焙煎コーヒー豆を店舗とオンライン通販で小売販売しています。
自家焙煎コーヒー豆小売商売ですが、高齢者フリーランス(自営業者、個人事業主)にものすごく適している商売だと思っています。
ただし、この商売は一人で営むのが無理な商売ですから、夫婦2人健康で働くことができたならという前提条件があります。
コーヒー豆自家焙煎歴30年、自家焙煎コーヒー豆小売歴30年、この2つの経験・技術・知識の蓄積を上手く使えれば、頑張らずに気楽に働いても、これまでの生活レベルを維持するくらいは稼ぎ続けられます。
エカワ珈琲店の店主は、サラリーマン歴14年、その後は自営業者のフリーランスですから、主な年金収入は国民年金です。
65歳になって、国民年金を受給できるようになって、介護保険料を支払った残りの手取り年金収入が毎月約7万5000円くらいになって、それが、エカワ珈琲店の商売にある変化をもたらしてくれました。
綱渡り的な薄利多売商売から、完全に脱却することができたわけです。
最低、毎月7万5000円の定期収入があるということで、思い切って、付加価値を頂戴する商売に転換できました。
「とんかつ屋の悲劇」という論文には、高齢者夫婦が営んでいるとんかつ屋さんが、高品質のトンカツ定食を低価格で販売できるのは、公的年金を補助金として使っているからだと書いてありましたが、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦の場合は反対で、付加価値を頂戴するための補助金として公的年金を利用できたわけです。
おそらく、前者のような公的年金の使い方をする高齢者フリーランスは稀な存在だと思います。
ほとんどは、減価償却の済んだ設備を使って高品質のトンカツ定食を安い価格で販売しなければ、お客さんに見放される可能性があるという恐怖感から、設備が壊れた時のリスクを無視して、高品質のトンカツ定食を安い価格で販売しているはずです。
ようするに、綱渡りのような商売をしているわけです。
公的年金を補助金として利用するなら、ほとんどの高齢の夫婦が営んでいる店は、付加価値を取れる商売に転換するのに使うだろうと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えます。
公的年金を受給する年齢になると、「あの時こうしていたなら、あの時あのようにしていれば」と、これまでの自分の人生を振り返って後悔することも多々あります。
例えば、国民年金でなくて厚生年金に加入する仕事に就いていたなら、毎月、15万円~20万円くらいの年金収入を得ていたかもしれないなどと・・・。
毎月15万円~20万円を生活資金に使えれば、そして健康ならば、地方の中核都市で余裕を持って暮らせるとは思えませんが、贅沢しなければ何とかそれなりに暮らして行けると思いますから。
しかし、好きな事を仕事にするフリーランス(自営業者、個人事業主)として30年間働いてきて、その結果として、69歳の今日でも、それほど頑張らなくても、気楽に働いていても、ある程度の生活レベルを維持できているわけですから、そのような後悔は贅沢なのかもしれません。
30年間の珈琲豆焙煎屋としての経験・技術・知識を持っているから、古希を迎えても、若い世代の同業者に後れを取ることなく商売を続けていけるわけですから。
そんなこんなで、70歳を越えても、高齢者フリーランスで気楽に働いて稼ぎ続けて、残りの人生を我慢せずに楽しく暮らして行きたいと考えている今日この頃です。